9年も前に発売されていたスキャナカメラに衝撃




何気なく見ていたら、驚くほどの性能に衝撃を受けました。



最近、調べものでネット検索していたら、偶然に上の動画を見つけました。どうやら6×17cm判のラインセンサー型スキャナカメラであることが解ります。センサーの動きがずいぶん早く感じます。ナレーションを聞いてみると、160 million pixels(1億6000万画素)のスキャン時間がなんと1秒だと言っています。私にとっては、全身から力の抜けるほどの衝撃でした。なぜならラインセンサーでそんなに早く動く筈がないと思っていたからです。しかし、スキャン1秒が事実なら、これまでのスキャナカメラの概念は大きく変わってしまいます。例えば1ラインの幅0.1mm程度のラインセンサーが1秒間で170mm移動する場合、0.1mm幅のスリットカメラを想定すると、理論的には0.1mm/170mm=0.0005秒となり、有効露出時間は1/2000秒というシャッタースピードになります。そして、これはプロ用デジタルバックと同等の機動性が備わることを意味します。動態撮影も自由自在で被写体を選ばないし、勿論手持ちスナップも十分可能でしょう。さて、それでは、なぜこんなに早く動かすことができるのでしょうか? 現在最速のラインCCD型のA4スキャナーで約6秒(300dpi)なので、1億6000万画素を得るには早くても数十秒はかかるでしょう。しかし、このカメラは9年も前に1秒を達成していたのです。そこには何か秘密がある筈です。その後見つけた、Seitz 6×17Digitalのスペックの中にType:TDIという記述を見つけました。そこで、TDIで検索してみると、Time Delay Integrationというタイプのラインセンサーの存在を知りました。これは通常のラインCCDよりも64または96画素ほど幅を広げたセンサーで、ライン画像を重複させながら取り込み、積算させるシステムで、より高感度になり、処理の高速化が可能になるようです。こんな物が9年も前に出来ていたなんて、恐るべしSeitz社です。そこで、日本国内で探しみるとTDIセンサーを生産するいくつかのメーカーを見つけましたが、主な用途は生産ラインの品質管理用カメラなどで、残念なことにTDI型のイメージスキャナーの製品は皆無でした。そもそもSeitz社はラウンド式パノラマカメラを生産するメーカーとして有名でしたが、おそらく、新型の専用ラインセンサーの開発に伴って、メイン製品となるラウンド式パノラマカメラと同じセンサーユニットを共用できる6×17Digitalをひとつの副産物として開発したような印象を持ちます。使用マニアルを見つけたので見てみると(※1)、センサーユニットは分離式になっていて(写真1)、6×17Digitalボディから取り外したセンサーを自社のRoundshot D3というパノラマカメラにそのまま取り付けられるようになっているのです。あ〜あ、当分の間このカメラのことが頭から離れそうにありません。どうやら私の次のテーマは高速化になりそうですが、1秒というのはさすがにハードルが高いです。

※1 使用マニアル http://www.manualslib.com/manual/807197/Seitz-Roundshot.html#manual



TDI unit
写真1 6×17DigitalボディからTDIセンサーユニットを取り外した様子。


6x17 Image
2006年当時の初期型。この写真は印象的で記憶にあったのですが、てっきりエリアセンサーカメラだと思っていました。


Seitz 6x17 Digital
現在のSeitz 6×17Digitalは、初期型から鏡胴あたりを改良したようです。

































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