SWCの超えられない壁
初めて外に出してSWCを使って撮影したのですが、大変な問題が出てしまいました。ちなみに645の実サイズは56×41.5mmですが、CCDの有効範囲は56×50mmで、これが2号機の新フォーマットです。1200dpiで撮影
特注ギアが届くまでまだ時間がかかるのですが、SWCを使いたくて、家のそばにある崖を撮ってみました。さて、一見ワイドレンズの周辺減光のようにも見えますがビオゴンの描写はこんな極端な周辺落ちにはなりません。私はこの画像である現象を思い出したので、直ぐさまフラットな白壁を正面から撮影(下の写真)してみたところ、SWCのある大きな壁に遭遇したのです。以前から懸念していましたが、ついに出てしまったという印象です。これは以前、いちのせさんから教えていただいた異方性という問題です。解説をすると、ベイヤー配列も含めてCCDはその構造からもともと超広角レンズの斜めから急角度で入る光を捉えるのが苦手なのです。そして、オンチップマイクロレンズ付きのラインCCDの場合、ライン方向(画面短辺)はある程度受光できるのすが、それに対して駆動方向(画面長辺)では中央から画面左右方向に行くに従って徐々に光を捉えにくくなっていく現象があります。これをいちのせさんはオンチップマイクロレンズ付きラインCCDには異方性があると表現しています。残念ながらこれはマイクロレンズ付きラインCCDの宿命なのです。私としては焦点距離が38mmあれば大丈夫と思っていましたが、ビオゴンレンズの対称光学系の構造によりバックフォーカスが短くて、後群レンズがバック取り付け面すれすれまで近い所にあるので、CCDが角度のきつい斜光を捉えきれなくなってしまうようです。これは厄介です。これを解決することは普通に考えると不可能です。しかし、いちのせさんからスペシャルなアドバイスをいただきました。一つだけ解決の方法があるのです。しかしそれは難易度の高いCCD受光部の改造なのです。ラインCCDには保護ガラスが付いていますが、そのガラスの下に空洞があって、そこにCCDが取り付けられワイヤボンディングで配線されているのですが、この空洞に穴をあけてガラスと同じ屈折率の樹脂で満たしてしまうのです。それによってガラス表面からCCDまでの光路がガラス表面の境界面屈折の角度分だけ入射角度に余裕が生まれるという寸法です。文章だけでは解りにくいので、概念図を書いてみました。(下図)しかし、これは理論的には可能なのですが、気泡の混入なども考えられ大変難しい改造なのです。これを実行するには2台や3台のS620をだめにする覚悟が必要です。さてどうしたものか!このスキャナバックはSWCのために作ったようなものなので、諦めるのはくやし過ぎます。今はただ途方に暮れているところです。そういえば、自作したSWC型の35mmワイドがありますが、こちらは一眼レフ用の設計ですからバックフォーカスが長くなっているので、おそらく問題なく使えると思います。こうなるとこれだけが救いです。早くマウントを加工して、使えるようにしようと思います。それにしてもどうしよう!(涙)
白壁を撮ってみたら、完璧に異方性の現象が出てしまいました。
個別連絡:いちのせ様へ 一応、私なりの解釈で概念図や解説をしてみましたが、少し自信がありません。間違いがあったらご指摘ください。
追記:いちのせさんのご指摘で訂正します。異方性があるのは、オンチップマイクロレンズ搭載のラインCCDだけの現象ということです。F500やS620など高感度タイプCCDには感度を上げるためのオンチップマイクロレンズが付いています。本文も一部訂正しました。
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